2015年8月31日月曜日

なつかしい場所

昨日、10年ぶりに野村胡堂あらえびす記念館に行ってきた。佐藤彦大さんという地元出身で20代のまだあどけなさの残る若いピアニストのソロコンサート。
かつてこのホールでピアノトリオのコンサートを毎年させていただいていたことがあり、その懐かしさもあって m さんと一緒に訪れた。

今朝のアンブリッジローズ

真摯で過剰な表現をしない好感の持てるとても良い演奏だった。
大概、なんでも一つの楽器のコンサートとなると後半には聴き疲れてしまうのだが、彼の演奏は最後まで楽しく聴けてしまった。なぜ疲れないのか聴いているうちに気づいたことが、余計な余韻を残さない神経の行き届いたペダリング。ペダルでのごまかしがないので音が素直に届くし、すっきりしていてずっと聴いてても疲れないのは余計なペダルを使わないことにあると思った。そしてところどころみせるトリルや早いパッセージにグルダを思わせるような歌いまわし(好き嫌いは分かれると思うけれど)、心地よいテンポ感、特に左手のクリアな音の美しさ、どこまでも自然な歌い方、誰にも真似のできないテクニックに裏づけされた彼の世界観を感じた。
それにしても一曲終わるたびに汗を拭き拭き、ステージ袖に戻っていく姿が可愛らしい!

mさんのナスの花も雨に濡れて

こういうローカルな場所でのコンサートでは作り付けのステージと違ってホテルでよく見かける簡易な可動式の箱型ステージ。これは仕方のないことかもしれないけれど、この箱がいわばピアノの一部になっているわけだから、せっかくの音がボワンボワンと箱の中に抜けていくような音が気になった。ピアニストが皆から見える必要はないからフラットな床で演奏してもいいのではと感じた。いつかまた整った環境でのステージでもう一度聴いてみたいと思える魅力あるピアニストだった。静かに見守りたい今後が楽しみなピアニストだ。
久しぶりにお会いした底抜けに明るい I さんと M さん、いつかゆっくりおしゃべりしたいなー!

〜プログラム〜

シューベルト:4つの即興曲  OP.90  D899
スクリャービン:ピアノソナタ2番
グラナドス:組曲「ゴイェスカス」から第4曲
リスト:ペトラルカのソネット104番
ベートーヴェン:ポロネーズ OP.89
ベートーヴェン:ソナタ23番「熱情」








「あらえびす」入り口で
mさん

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