2015年10月1日木曜日

旅のお話 2

3日目のつづき

シュタイアーをあとに駅から出るポストバスで20分。クロンシュトルフに着いた。道行く人もまばらな人口約3000人ののどかな町。バス停前の小さな小さなカフェに入り、まずはコーヒーで一息つく。奥のテーブルで食事をしていた地元の人らしい年配のご夫婦がしきりにこちらをチラチラ見ているけれど、きっとこんな小さな町まで来る東洋人なんてそんなにいないのでしょう。

このカフェはミケッレさんが数年前に偶然のきっかけで知り合いになったこの街に住むブルックナーの研究家でオルガニストの N 氏を紹介してもらった場所だ。その後も手紙での交流は続いている。今回事前に連絡をすると、きっと気を使わせてしまうことになるからと、着いてから連絡をすることにした。

カフェ前の駐車場からブルックナーがオルガンを弾いていた教会が見える

美味しいイチゴのムースとコーヒーをいただきながら
N 氏が来られるのを待って


手紙ではやりとりしているものの、実際にちゃんとお話しするのは初めて
貴重なお話しをたくさん聞かせて下さって有難うございました。

その後、教会に隣接しているブルックナー博物館を案内していただき

博物館プレート

3畳ほどのこの小さな部屋で生活をし、助教師として子供たちに教えながら、作曲や教会のオルガニストをしていた。机とガラスケースに入ったヴァイオリンが展示してあるだけだったけれど、ここにベッドを置いたら身動きが取れないほどとても小さな部屋だった。

ブルックナーが使用していたリンツ製のヴァイオリン。かなりの腕前だったらしい。



















二日前の9月4日にブルックナーの誕生日をお祝いするコンサートがこの教会で行われたそうで、その時弾いた曲を数曲演奏してくださった。その優しい音色と心の琴線に触れる素晴らしい演奏だった!なんというサプライズ!

幻想的なこの空間に響き渡った素晴らしいオルガンの演奏

突然の訪問にも気持ち良く接してくださって、N 氏のその優しいお人柄に触れ、嬉しいやら申し訳ないやら、わたしたちにとって忘れられない一日となった。本当に有り難うございました。

夕方、リンツへ向かうバスの中で、カメラがないことに気がつく!!!
そういえば、オルガンの演奏に感激のあまり、横に置いたカメラのことをすっかり忘れてしまった。戻るにはもう遅いし、とりあえずリンツの駅からミケッレさんにカフェへ連絡してもらい、教会へ行って取り置いてくれるようお願いすることにした。ほーっ!
こういう時、慌てず騒がずのミケッレさんはとても頼りになるのです。やれやれ、カメラが無事でよかった。      
                       いろいろなことがあった一日でした。

0 件のコメント: