2024年11月3日日曜日

旅のお話5

10月15日(5日目) 快晴 15° C

今日はウィーンの隣町のクロスターノイブルク修道院へ行き、その足でハイリゲンシュタットのベートーヴェンが「田園」を作った家を訪ねる。夜はムジークフェラインのブラームスザールで  Pトリオを聴く予定。

オーストリア鉄道クロスターノイブルク駅舎&クロスターノイブルク修道院前のバス停広場
地下鉄でハイリゲンシュタットまで行き、
駅前から出ているバスでクロスターノイブルクへ(約15分)

ハイリゲンシュタットからクロスターノイブルクまでのバスチケット
オーストリア鉄道(OBB)はクロスターノイブルクを通過してしまう列車も
あるので確実なバスで行くことにした。

バス停前広場に降り立つと、教会の尖塔が目に飛び込んでくる。
なんていい眺め!

修道院に向かうゆるやかな坂と階段を登りきると

下から見えていた尖塔の教会が目の前に現れる。

秋色に染まってきた木々

修道院広場から見える向こうの丘には葡萄畑が広がっている。
ここはウィーンでも有数のワインの産地。
この修道院でも美味しいワインが作られている。

今までミケッレさんや子供たちと訪れたことはあったが、一人は初めて。
この教会のパイプオルガンが素晴らしいらしいが、いつかチャンスがあれば是非聴いてみたい思っている。

ここを訪れたいと思ったのは、古い音楽旅行案内に16、7世紀の貴重な楽譜印刷が収められていると記されてあったので観てみたいと思ったのがきっかけだった。初めて来たときにガイドさんに尋ねたが楽譜のことは知らなかったので多分一般公開はしていないのでしょう。

綺麗に手入れされた中庭

それでも、ここに来たくなるのはこの素晴らしいパノラマ。
季節にもよるが、訪れる人はまばらで、この日も数人見かけただけ。
ポカポカ暖かい日で、中庭の階段に座って、しばらくこの景色を一人満喫。
贅沢な時間、、、

修道院の鏡の案内板で記念に、、一枚!

ワイン製造の建物と右側が修道院宿舎かな、、、

聖堂内にブルックナーのレリーフが飾ってある。鉄の格子越しに撮った黄金の聖堂内
ブルックナーはこの教会のオルガンがことのほか気に入って、たびたび弾きに来ていたそうだ。(基本、聖堂内ではあまり写真を撮らないことにしているが)

美しいガラスの扉を入ると、

さらにカトリックの希望のシンボル、ゆりの花のモチーフの重厚な扉を開けて中に入る。
この日は聖堂内は閉まっていて中に入ることが出来なかった。

その後、バスでハイリゲンシュタットに戻る。
ミケッレさんとよく待ち合わせした教会が見えてきた。

ベートーヴェンはたったの2ヶ月しか住まなかったと言われるプファールハウス。
多分昔の田舎家のスタイルだったことと、中がホイリゲになっていて訪れる人が多かったから有名になったんじゃないかしら?小腹も空いてきたので軽く昼食にしようかな。

壁にはベートーヴェンが住んでいたプレートがある。


ホイリゲの入り口       夏は中庭にテーブルが出てぶどう棚の下で食事ができる。



        
今年は暑くて、このホイリゲではまだシュトルムは飲めないそうだ。残念!キノコのお料理頼んだつもりがキャベツ料理が来てしまいました。でもこれがピリッと辛くてとても美味しかった〜!クセの少ないブラッドソーセージも美味しくて4本ペロリと平らげ、、、かぼちゃのリゾットもオーダーしようか迷ったけれど、量が多いことを考えたら、半分も入らないだろうと諦めました。

2ヶ月しか住んでいなくても、この建物と交響曲3番「英雄」の楽譜が書かれた絵が飾ってあって、引っ越し魔のベートーヴェンはウィーンのあちこちに観光名所を作ったことになりますね。

プファールハウスのすぐそばにも、あの有名な遺書の家がある。外観を見るだけ

ベートーヴェンの散歩道はとても静かで
周りの木々が色づき始めていました。

さて、田園の家を目指して歩きまーす。
聖ミハイル教会を通り〜

しばらく歩くと白く外に突き出した家が見えてきました。
アインシュタインが4年間住んだ家。その3軒先に「田園」作曲の家が見える。

アインシュタインの家のプレート

ベートーヴェンが交響曲「田園」を作曲した家

この同じ建物に住んていたグリルバウツァー母子のお母さんが大の音楽好きで台所の扉をこっそり開けて聴いていたらしく、それに気付いたベートーヴェンがピタッとピアノを弾くのをやめたと言う逸話がある。そんなことを想像しながらこの建物を眺めると、なんだかベートーヴェンの素顔がかいま見えたようで微笑ましくなった。

そろそろホテルに戻って夜のコンサートに備えて一休みしましょう。

帰りのトラムから撮ったブルックナーが最初に住んだアパート。
ちょうどプレート表示に陽のあたっている。
街の中心に近いヴェーリンガー通りのこの建物の3階に住んでしたらしい。

ホテルで少し休んだので、さて、出かけますか。

今回、いつも使う地下鉄の一部の路線が去年からの工事が進んでいなくてまだ使えず。
今年は乗れるはずだったのに、ウィーンの人はのんびりです。
そこが良いところでもあるのだけれどね。
オペラ座までトラムで行き、そこからムジークフェラインまで徒歩移動。

今回の旅の最後に聴くコンサートは Pトリオ

旅も終わりに近づくと持参した洋服もあるのに今日も同じ!
疲れないラクな服装ばかりになってしまって、
だんだん見た目を気にしなくなってきました〜。
パンツもシワシワ〜

アルテンベルクトリオのポスター
プログラム
ハイドン:Hob xv 35
メンデルスゾーン:1番 op.49
コルンゴルド:1番 op.1

演奏:pf :クリストファー・ヒンターフーバー
   Vn : ピーター・ソモダー
   Vc : ヘ・ジュ

ブラームスザールで行われたコンサート
ハイドンはカチッとした音質でテンポも速くなく品の良いテンポ。以前、指揮者のブロムシュテットさんが N響でハイドンの練習する時、ティンパニを昔のティンパニに替えることとハードスティックに替えるようにと指示した話を聞いたことがある。演奏はハイドンの時代にタイムスリップしたような楽しい演奏だった。

2曲目のメンデルスゾーンは機関銃のようなと言ったら言い過ぎ時かもしれないけれど、とても速いテンポでビックリしたが新鮮だった。むしろ曲の全体像がよく見えて何を伝えたいかがわかりやすく良い演奏だった。演奏も色々な解釈があっていいと思うが、以前自分達が弾いたメンデルスゾーンは逆に窒息しそうな遅いテンポに思えてきた。
チェロは少し鼻にかかったような音色に違和感があったが、慣れてくるとこの音もありかなと思えたのが不思議な感覚だった。今回一番の収穫はピアノが素晴らしく、芯がありながらもフワッと柔らかい音。ヴァイオリンとチェロを包み込むようなおおらかで心地よい響き。

3曲目は聴きたかったコルンゴルドのトリオ。コルンゴルド初めて聴いたのはヴァイオリンコンチェルトだった。無調性的の作風な中に時々出てくるロマンティックなメロディが魅力のコルンゴルド。頭の上から降り注ぐような音がずっと聴いていたいと思うような魅力溢れる演奏だった。旅の間すっとバックに忍ばせている「写真の人」と最後まで素晴らしい音楽を共有できたような気がした。

心地よい響きに包まれたままホテルへ帰る。残すところ明日一日。今日も充分、心が満たされベッドに入る。寝る前にちょっとだけドジャーズ戦を見て寝る。😅
                                                                            12時就寝

 

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