2014年11月6日木曜日

旅のお話6のつづき

6日目の後半。モントルグイユのマルシェを歩いてセーヌ河沿いに出た。その河沿いに建つ小さな教会が気になって入ってみた。コンサートが行われた後のようで、イスや譜面台を片ずけている人が数人いるだけで、ガランとした少し寂しい雰囲気のする教会だったけれど、思いがけず素晴らしいステンドグラスがを見ることができた。

セーヌ河のほとりに建つ小さな教会の見事なステンドグラス

教会入り口の装飾性の高い重厚な扉

あまり宗教色の強くない、幾何学的なデザインを優先したようなステンドグラス。
ブルーの濃淡で全体に品の良い窓や
ウィリアムモリスの図柄を思い起こさせるデザインの窓
教会では珍しいのではないかしら? 私はこういう雰囲気の方が好き!

モントルグイユから地下鉄でコンコルドまで移動し、オランジュリー美術館へ。
何と言っても、12枚のパネルに描かれたモネの睡蓮の連作が再び見られることでワクワクしていた。もちろん自由行動にしてミュージアムショップに集合することにした。この美術館は規模が小さいので一つ一つゆっくり見られることころがいい。印象派をはじめとしてピカソやマティス、マリーロランサンなどの絵画も展示されている。まずは一階の睡蓮の間へ行く。楕円の天窓から入る自然光が気持ち良く、自分の好きな睡蓮を前に、部屋の真ん中に設えられた長椅子に座り、時間をかけてゆっくり眺める。ミケッレさんもやっぱりこの柳と一緒に描かれた睡蓮が気に入ったみたいで隣に来て一緒に鑑賞。

ひと通り鑑賞して地下の展示室へ。睡蓮でだいぶ時間を費やしてしまったので少しだけ急ぎ足で、ルノワールから順に見ていく。なんだかんだ言ってもやっぱりルノワールはいいなと思う!そして大好きなユトリロの「白の時代」を鑑賞。彼の素直な優しさが感じられて見ていてほっとする。ミュージアムショップでは絵はがきを数枚とマティスのカレンダーを買う。充分心が満たされた後、チュイルリー公園を通り、地下鉄でサン・ルイ島の近くまで行く。


駅を降りるとすぐ目の前がコンコルド広場、そのそばにオランジュリー美術館がある。

チュイルリー公園からルーブルが正面に見える・社会科見学?の子供達・大きな樹の下で電話する人

池のまわりでは犬を連れて散歩する人や椅子に腰掛けて道行く人を眺めている年配の夫婦
鳩を追いかけている小さな子供、読書をする人、
みんな思い思いのひと時を過ごしている、なんて幸せないい風景でしょう!



地下鉄を降りてサン・ルイ島へ向かう途中の景色

みんなそろそろお腹も空いてきたので、f さんが調べたサン・ルイ島のフレンチレストランで食事をすることにした。この島に入ると途端に雰囲気ががらっと変わった。静かで落ちついた雰囲気。この界隈は高級住宅街になっていて島のほとんどが17世紀に建てられた貴族の館が多いらしく、美しい街並みだ。観光スポットも多くないため旅行者らしい人をほとんど見かけないので島全体がとてものんびりしている。さて、せっかくサン・ルイ島まで来たのだからこのハイソな雰囲気を満喫しましょう!と先ずはレストランへ  Go!
f さんがどんどん先を歩いて行ってしまう。『 f さ〜ん、ちょっと待ってー、ここじゃないのー?』と呼び止めると『 あっ、そうそう ここ、ここ。』とレストランっぽくない外観にもう少しで通り過ぎてしまうところだった。

マリー橋からルイ・フィリップ橋を臨む。
遠くからでよく見えないけれどバラの装飾がされているらしい

「モン・ヴィエイユ・アミ」のプレートが小さくかかっているだけ
飛び込みだったけれど愛想よく応対してくれた。


私のいただいた黒トリュフ乗ったリゾットは舌触りもなめらかでとても美味しかった。
写真に撮るのは気が引けたけれど、思い出にと影からパシャっと、失礼!

トリュフやフォアグラをふんだんに使ったアルザス地方の創作料理は美味で大正解だった !
 f さんのお店のセレクトはパーフェクトでしたね!お店の雰囲気も味も大満足でお店を後にした。

お腹も満たされたところで m さんオススメのアイスクリーム店へ。レストランから近く そこだけ人が集まっていてすぐに見つけることができた。


くだものやさんの店先
どれも美味しそうな果物のコンポート。ディスプレイが綺麗!


m さんがどうしても食べたいと言っていた「ベルティヨン」のアイスクリーム

私が食べたラムレーズンはラム酒の効いた大人のアイスクリームでとても美味しかった。
m さんのフランボワーズのアイスクリーム(写真)も美味しそう。
帰りがけサン・ルイ島に入ったすぐのお店のウィンドウに気になっていた30% off のカシミアのセーターを見に入る。他の3人は興味がないみたいで外で待ってるからと、そう言われても待っていられるとゆっくり選べないワ~。でもここまで来たのだから一枚は買って帰りたい!どの色のセーターも食べたくなるような綺麗な色、若草色、キャメル、チョコレート、チェリーレッドどうしよう!” 急いで ” 悩んだ末、結局いつもの安心して着られるキャメル色のセーターにした。

この後、コンサートまで結構時間もあるので、もう一度行って見たい場所や、まだ行っていない場所で是非行きたいと思う場所を皆で考えた末、凱旋門の上から放射状に広がるパリの街を眺めて旅の締めくくりにしましょうと話がまとまった。ちょうど、凱旋門はプレイエルホールに近いところだったので、一度ホテルに戻って休憩したあと、夕暮れ時のパリを凱旋門の上から眺め、それからコンサートホール近くで時間までティータイムにしましょうということになった。

夕方4時半に出掛けて、凱旋門へ。ところがところが、ここでちょっとしたハプニングがあった。上に登る地下階段入り口のシャッターが閉まっていて、人だかりができていた。何かがあったらしいのはわかったが、フランス語で説明している警備のおじいさんが何を言っているのかさっぱりわからない。そこでおじいさんの説明を聞いていたフランス人の青年にミケッレさんが英語で聞くと、凱旋門の上で心臓発作を起こした人が病院に搬送されたらしいということで、この日はもう登れないということだった。皆がっかり!おとといは雨が降っていたので凱旋門の上まで登るのは諦めたのだけれど、今にして思うと雨でも登っておけばよかったと悔やまれる。


気を取り直してプレイエルホールへ向かう。 夕飯を済ませていくとコンサートで眠くなるかもしれないから、今のうちどこかで食べ物をテイクアウトしておくのがベストというなんだか変な話になって、それならそろそろ和食が恋しくなった頃だし、前回たまたま通りで見かけた「 OKAME 」でお弁当を買っておきましょうということなった。お店に入ると『いらっしゃいませー!』の声にほっとする。だが、これを持ってコンサートに行くにはいくらファスナー付きのバッグに入れたとしても臭わないか心配になるが、f さんが『大丈夫だよ』とあっけらかんと何のためらいもなく自分の大きなバッグにみんなのお弁当を入れてくれた。可笑しい!こんなことアリエナイ!と思いながらもまぁ、旅人だからね、なんて自分に言い聞かせる。あとはコンサートの時間までブラッスリーでゆっくりお茶を楽しんだ。

おととし友人とコンサート前に食事をしたブラッスリーに入る。
前にも私たちをからかった、めちゃめちゃ陽気なギャルソンに今度も
同じようにからかわれた!『プレイエルホールにショパン聴きに来たんでしょ!』って
懐かしかったー!

プレイエルホールに続く「クールセル大通り」

クールセル通りのゆるい坂道を歩いて行くとホールが見えてきた。途中、 f さんと m さんがまだ買い足りないのかチョコレートのお店を見つけて入って行き、またもやお買い物。


左の向こう側にプレイエルホールが見える。

譜面台やペダルの装飾も美しいエラールのピアノ

f さんと m さんがチョコレートを買っている間、お隣のアンティークピアノのお店のウインドウを覗く。プレイエルはじめ、シンメルというあまり馴染みのないドイツのピアノやエラールのピアノなど珍しいピアノが幾つも展示してあった。シンメルやエラールのピアノを見たのは初めてでいったいどんな音がするのか興味はあったが、残念ながらゆっくり見る時間がなかった。

さて、事前に購入していたチケットを持って、ホールに入る。さすがにジーンズはいないけれどみんなラフなスタイルが目立つ。いつも感じることだけれどこういったコンサートでまず子供連れはいない。欧米の人たちは大人の楽しみとして余暇時間をコンサートに聴きに出かける人が多いように思う。自分たちの時間を大切に有意義に過ごす、つまり大人の社交場として定着しているのがとても羨ましい。


サル・プレイエルの正面


むかし一度だけシカゴの森林公園内で行われたカジュアルなバロックコンサートに4才の f さんと6才の m さんを連れて行ったことがある。”静かに聴かなくてはいけない"ことを子供たちに説明して、万が一のことも考え一番後ろのドアの近くに座り聴いたことがあった。面白かったのかすこしも騒ぐことなく2時間のコンサートを聴き終えた時、そばにいた人から『ミラクル ! 』と言われたことが今も嬉しい記憶として残っている。そういえば私の子供の頃、親から静かにしないと何処何処に連れて行かないよ、なんてよく言われたものだった。話が逸れてきた。あとはコンサートの事だけかな?でも疲れたので最終日のこの続きはまたあとで書きましょう。



10月10日はまだつづく

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