天気:小雨
いよいよ旅も佳境に入り、残り2日あまりとなる。この日のメインは何と言っても、シテ・ドラ・ミュジックでのシューマンのピアノコンチェルト。ポゴレリチがどんな演奏をするのかとても楽しみ!午前中はセーヌ河クルーズとオルセー美術館の見学。
朝は少しゆっくりホテルを出たので乗船するエッフェル塔たもとのイエナ橋へ着くのが時間ギリギリになってしまい、小雨降りしきる中、傘をさしながら皆かけ足で乗り場まで急いだ。あと1分も遅ければアウトだった。みんなホッと胸をなでおろす。船から見上げるパリの街。コンコルド橋をくぐり、ルーブルを左に見ながらボン・デサール(芸術橋)を過ぎ、シテ島の右岸へ入る。特にサン・ルイ島に建つ美しい建物。灰色の美しい佇まいのノートルダム大聖堂やサント・シャペルの針状の塔。河を通り過ぎるいくつものボート。やがて乗船した船乗り場のそばにそびえるエッフェル塔が近づいてきた。
近くで見るとレース模様のように美しいエッフェル塔
下船したら雨があがった。
天候が良くないのと時間の無駄を考えて、エッフェル塔の下からタクシーを拾ってオルセーへ移動する。オルセーに着くと正面入り口は入場を待つ人の長蛇の列。今回、パリの主要な美術館など待たずに入場できるパリミュージアムパスを購入して行ったので別の入り口からスムースに入ることができた。
前回、友人と訪れた時は、中階以上は改修工事のため見ることができず涙を呑んだが、今度は真っ先に上階へまっしぐらー!やはり人気の階で人が多い。モネ、ルノワール、スーラなど数時間で鑑賞するには受け止めきれないほどの印象派の名画が並び、まずその数の多さに圧倒される。画家がどんな気持ちで描いたのか思いを巡らしたり、知っている限りの知識を交換しあいながら見て回る楽しいひととき。最後に前回見たとき涙が溢れそうになったミレーの「晩鐘」をもう一度見たいと思ったら、日本の国立美術館のオルセー展に行っていたらしく残念ながら見ることができなかった。
限られた時間ではあったけれど、それでも充分に心豊かな時間を過ごすことができた。ミュージアムショップではルノアールやマネなどの絵葉書を数枚、最近、旅先でかならず求める義父へのジグソーパズルのお土産を皆で選ぶ。ただ選べるほどの数はなく、その中ではルノワールの「ピアノを弾く少女たち」がいいということで皆一致。今度はなにか違うものにしましょう。
限られた時間ではあったけれど、それでも充分に心豊かな時間を過ごすことができた。ミュージアムショップではルノアールやマネなどの絵葉書を数枚、最近、旅先でかならず求める義父へのジグソーパズルのお土産を皆で選ぶ。ただ選べるほどの数はなく、その中ではルノワールの「ピアノを弾く少女たち」がいいということで皆一致。今度はなにか違うものにしましょう。
宮殿のようなレストランでまずは腹ごしらえ・オルセーの正面
フィッシュ&チップスやリゾットなどなんでもある、いわゆるファミリーレストランといった感じ
味も普通に美味しかった
昔、駅舎だった名残が感じられる。
オルセーではやはり時間が足りなくて予定時間を超えてしまったので次のリュクサンブール公園にあるマリオネット劇場へは、またもやタクシーで移動。楽しみにしていたマリオネット劇場は1933年から80年以上の歴史を誇る劇場だそうで子供参加型で演じられる人形劇は私たち大人が見てもとても楽しいものだった。公園の中の一角が子供の公園になっていて、マリオネット劇場はメリーゴーランドのそばにあった。
夕方4時半の公演を前に少しづつ、幼い子供連れや付き添いのベビーシッターと思われる人たちが集まる。ベビーカーでやってきた2歳くらいの女の子を連れた若いお父さんは、ぐずり始めた女の子をひょいと抱っこし歌ったり話しかけたりしている優しい眼差しがとても印象的だった。いよいよ劇場に入る。オットセイやライオン、チンパンジー、ピエロなど小さな舞台に多くの人形が登場し、まるで本当に生きているかのように操る巧みな技に思わず引き込まれた。
いよいよ今日のメインの夜のコンサートに備えてホテルで充分に休息をとる。
この日も軽く夕食を済ませ、コンサート会場へ。パリコンセルヴァトワールの隣にあるシテ・ドラ・ミュジックホールは音楽の街という意味なのだそうだ。駅を降りると雨が降っていて少し肌寒かったが最後のホッカイロが役に立った。コンサートホールの横にはライトアップされた噴水が広場に浮かび上がるようにひときわ目立っていた。ホールはコンクリートとガラスでできた近代的な建物で、ホール以外にも音楽博物館やレストラン、本屋さん、CDショップが入っている複合施設になっていた。少し時間があったのでCDショップに入ると、ベートーヴェンのチェロソナタがかかっていて、その音色がまた魅力的だったので早速、購入。席は2階席のど真ん中で結構いい席だった。
タバシュク:(この日の指揮者 )Le Livre de job
シューマン:ピアノコンチェルト
シェーンベルク:ワルシャワの生き残り
ブリュッセルフィルハーモニーオーケストラ
ミシェル・タバシュク 指揮
イーヴォ・ポゴレリチ ピアノ
レオノーレ序曲はオーソドックスな演奏でフランスに近いからか柔らかい響きのベートーヴェンだった。好みとすればもっとメリハリが効いた演奏が好きだけれど、これはこれで品のいい演奏だった。次は初めて聴く指揮者自身の作曲。オーケストラと合唱付の現代曲。初めのうちは結構面白いと思って聞いていたけれどまるでミニマルミュージックを聴いているような底辺で繰り返される旋律が眠気を誘い、とても長い時間に思えた。正直にいえば私にはよく理解できない曲だった。
休憩に入ると舞台ではピアノのセッティングやマイクなどの機材の準備を始めた。すると、まもなく大柄なスキンヘッドの燕尾服を着た男性がゆったりした足取りでピアノの方に向かって歩いて行く。話には聞いていたが、もしや?目を疑った。『ねーねーあの人ポゴレリッチじゃない?』『うん、そうみたいだね』するとおもむろに手に持っていた透明な液体の入ったコップを静かに椅子の下に置き、楽譜を譜面台に置き、ゆったりピアノを弾き始めた。本当だった!会場に目をやったり、セッティングの方に目をやったりしながら試奏しているようだった。椅子の安定が悪いのか取り替えさせたり、譜めくりの人の椅子までも自分にとって気にならない位置に自らセットしたり、再びゆったりと弾いている。
間もなく時間というのに弾き続けている。すると係りの人が耳元で時間を知らせたようだった。その後、ゆっくり立ち上がり、楽譜とコップを手に持ち舞台の袖に下がるのだが、奥へは引っ込まず階段を降りたとところで壁に寄りかかり、手に持っていたコップを2、3回で「クィーッ!」と空け飲み干したのだ。その飲み方がひょっとしたら、アルコール?ワイン?真相は定かではないが、そんな飲みっぷりだった。これまでテンポが異常に遅いとか色々言われていたけれど、この日の演奏はそれを打ち消すような素晴らしい演奏だった。人によって好き嫌いはあるでしょうけれど、独特のテンポ感とタッチの強さが魅力だと思っている。
インテンポで始まり後半ではノリノリで勢いのあるテンポになり、その姿はすっかり自分の世界に入り込んで余裕のあるパワフルな演奏だった。一つ一つの音にも彼のおもいが詰まった音だった。そして彼の生きざまを垣間見た気がした。会場はスタンデイングオーベーションとなり、何度も舞台に上がっては『ふーっ!』と大きくため息をつき、手にした楽譜で顔をあおりながら、舞台のそでに戻る姿はおかしくもあり可愛らしくも感じた。きっと気の小さい人なのでしょうね。もしアルコールが入っていたとしたら、、、。その上で惜しみない拍手を送るヨーロッパの人の心の広さを感じた瞬間でもあった。わたしにとって強烈なメッセージをもらった気がした。最後の曲は合唱と歌(語り)のソロの入る7分足らずの現代曲。何しろソリストの声が柔らかく芯のある素晴らしい声だった。満足なコンサートだった。
秋色のリュクサンブール公園
広大な敷地のリュクサンブール公園
子供公園とマリオネット劇場
白いクマさんのぬいぐるみをずーっと抱っこしながら
おとなしく見ていた可愛らしい女の子。パチリとしてごめんなさい!
夕方4時半の公演を前に少しづつ、幼い子供連れや付き添いのベビーシッターと思われる人たちが集まる。ベビーカーでやってきた2歳くらいの女の子を連れた若いお父さんは、ぐずり始めた女の子をひょいと抱っこし歌ったり話しかけたりしている優しい眼差しがとても印象的だった。いよいよ劇場に入る。オットセイやライオン、チンパンジー、ピエロなど小さな舞台に多くの人形が登場し、まるで本当に生きているかのように操る巧みな技に思わず引き込まれた。
開演時間前に入った子供公園内の小さなカフェ
子供達の遊んでいる様子が見えて大人はゆっくりお茶を楽しむことができる。
一人のおじさんが幾つも声色を変え、面白おかしく声を出すので
その度に歓声を上げて喜ぶ子供達の笑声が小屋の中いっぱいに響く。
そのやりとりを見ているだけでも楽しく、幼い子供たちの笑顔を見ていて
こちらまで幸せな気持ちになった。
昔からの夢だけれど、いつかこういうマリオネットやってみたいなー。
広い公園内を横切って地下鉄駅へ
何より新鮮の感じたのは、使用される音楽が全て子供向けの音楽ではなかったこと。文化が違う!サキソホーンの奏でる大人っぽいメロディー、フレンチカンカンのメロディー、サティの曲など、幼い頃から日常的にこういう音楽に触れて成長していく子供達はきっと感性が豊かに育つでしょうね。ノスタルジックでレトロな雰囲気いっぱいの小屋の中で過ごした楽しいひとときだった。それにしてもパリの街は子供の多いこと。ここに暮らす人たちの気持ちにゆとりがあるのでしょうね。いよいよ今日のメインの夜のコンサートに備えてホテルで充分に休息をとる。
この日も軽く夕食を済ませ、コンサート会場へ。パリコンセルヴァトワールの隣にあるシテ・ドラ・ミュジックホールは音楽の街という意味なのだそうだ。駅を降りると雨が降っていて少し肌寒かったが最後のホッカイロが役に立った。コンサートホールの横にはライトアップされた噴水が広場に浮かび上がるようにひときわ目立っていた。ホールはコンクリートとガラスでできた近代的な建物で、ホール以外にも音楽博物館やレストラン、本屋さん、CDショップが入っている複合施設になっていた。少し時間があったのでCDショップに入ると、ベートーヴェンのチェロソナタがかかっていて、その音色がまた魅力的だったので早速、購入。席は2階席のど真ん中で結構いい席だった。
ホール脇の噴水
ホール入り口・ロビー
ベートーヴェン:レオノーレタバシュク:(この日の指揮者 )Le Livre de job
シューマン:ピアノコンチェルト
シェーンベルク:ワルシャワの生き残り
ブリュッセルフィルハーモニーオーケストラ
ミシェル・タバシュク 指揮
イーヴォ・ポゴレリチ ピアノ
レオノーレ序曲はオーソドックスな演奏でフランスに近いからか柔らかい響きのベートーヴェンだった。好みとすればもっとメリハリが効いた演奏が好きだけれど、これはこれで品のいい演奏だった。次は初めて聴く指揮者自身の作曲。オーケストラと合唱付の現代曲。初めのうちは結構面白いと思って聞いていたけれどまるでミニマルミュージックを聴いているような底辺で繰り返される旋律が眠気を誘い、とても長い時間に思えた。正直にいえば私にはよく理解できない曲だった。
休憩に入ると舞台ではピアノのセッティングやマイクなどの機材の準備を始めた。すると、まもなく大柄なスキンヘッドの燕尾服を着た男性がゆったりした足取りでピアノの方に向かって歩いて行く。話には聞いていたが、もしや?目を疑った。『ねーねーあの人ポゴレリッチじゃない?』『うん、そうみたいだね』するとおもむろに手に持っていた透明な液体の入ったコップを静かに椅子の下に置き、楽譜を譜面台に置き、ゆったりピアノを弾き始めた。本当だった!会場に目をやったり、セッティングの方に目をやったりしながら試奏しているようだった。椅子の安定が悪いのか取り替えさせたり、譜めくりの人の椅子までも自分にとって気にならない位置に自らセットしたり、再びゆったりと弾いている。
間もなく時間というのに弾き続けている。すると係りの人が耳元で時間を知らせたようだった。その後、ゆっくり立ち上がり、楽譜とコップを手に持ち舞台の袖に下がるのだが、奥へは引っ込まず階段を降りたとところで壁に寄りかかり、手に持っていたコップを2、3回で「クィーッ!」と空け飲み干したのだ。その飲み方がひょっとしたら、アルコール?ワイン?真相は定かではないが、そんな飲みっぷりだった。これまでテンポが異常に遅いとか色々言われていたけれど、この日の演奏はそれを打ち消すような素晴らしい演奏だった。人によって好き嫌いはあるでしょうけれど、独特のテンポ感とタッチの強さが魅力だと思っている。
インテンポで始まり後半ではノリノリで勢いのあるテンポになり、その姿はすっかり自分の世界に入り込んで余裕のあるパワフルな演奏だった。一つ一つの音にも彼のおもいが詰まった音だった。そして彼の生きざまを垣間見た気がした。会場はスタンデイングオーベーションとなり、何度も舞台に上がっては『ふーっ!』と大きくため息をつき、手にした楽譜で顔をあおりながら、舞台のそでに戻る姿はおかしくもあり可愛らしくも感じた。きっと気の小さい人なのでしょうね。もしアルコールが入っていたとしたら、、、。その上で惜しみない拍手を送るヨーロッパの人の心の広さを感じた瞬間でもあった。わたしにとって強烈なメッセージをもらった気がした。最後の曲は合唱と歌(語り)のソロの入る7分足らずの現代曲。何しろソリストの声が柔らかく芯のある素晴らしい声だった。満足なコンサートだった。
ルーブル美術館
エッフェル搭
明日はパリ観光最終日。10月10日へつづく
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