ベルリンフィルのアーカイブプログラムを見ていたら、2010年のアーカイブにバレンボイム指揮、アリーサ・ワイラースタインという当時29才の女流チェリストの演奏で、エルガーのチェロコンチェルトの映像があった。
私がまだ学生だったころデュ・プレの来日公演が突然中止になったことがあった。聴きに行こうか迷って結局チケットは買わなかったが、コンサート直前で体調不良のため中止のニュースがテレビ画面に写ったと記憶しているが、あまりに突然のことで驚いたことを覚えている。確か真っ赤なシフォンドレスで演奏している映像とともに流されたニュースにだった。結局、多発性硬化症という難病だったため、その後二度と演奏することなく引退してしまったチェリスト。
その、かつてバレンボイムの伴侶だった女流チェリストのジャクリーヌ・デュ・プレの十八番ともいえるエルガーの「チェロコンチェルト」(1965年イギリスでの録音のCD)をどのくらい前に聴いたのか思い出せないくらい長い間聴いていない。
そのときCDを聴きながら、デュ・プレの壮絶な人生が思い出されて、重く、胸がしめつけられ、それ以来暗い印象が強く残り、他のチェリストの演奏でも自分からはめったに聴くことはなくなっていた。このアーカイブでの演奏はバレンボイムがデュ・プレの死後、この曲で初めて共演したチェリストがワイラースタインなのだそうだ。どんな思いでバレンボイムが指揮するのかこれはもう聴いてみるしかない!と思った。
ワイラースタイン登場。深紅のドレスに栗毛色のロングヘアー、結構がっちりした体型がデュ・プレを思い起こさせる。このチェリストはデュ・プレよりも健康的で豊かな表現力をもった演奏者だが、こころなしか音色や演奏スタイルが似ているように見えた。バレンボイムが秘蔵っ子としているのも分かる気がする。
演奏が終わると、感極まったのかバレンボイム顔がすこし高揚してみえた。きっといろいろ思うところがあったのでしょう。エルガーは好きな作曲家だけれど、この曲だけはやっぱり受け入れられないなー。もしかしたら e -mollという調性の響きのせいもあるかも?
このときの他のプログラムはワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー3幕への前奏曲」とブラームスの「シンフォニーの1番」わたしにとってはどれも後ろ向きになってしまう曲ばかり。どうしてなのかまたつづきを書こう。
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