着物を着て、たすきをして台所に立っているか、茶の間でこたつに座って縫い物をしている姿しか浮かばないくらい常に手を動かしている人だった。
料理にかけては味のセンスが抜群で、おばあちゃん子で育ったわたしはいつもそばにいて味見をするのが大好きだった。
大根と人参とたらこ和え
おばあちゃんのが食べたいなー。
『これ、お塩小さじ何杯?』と聞いてもいつも『このくらい』と手ですくってパラパラっと目分量。 なのに美味しい!感覚の優れた人だった。また素材の美味しさを生かすために『実験』といっていろいろ試してみる祖母だっだ。
9人兄弟の末っ子で育ち、学校がすきじゃなかった祖母は、尋常小学校に半分しか通わなかったらしい。だからカタカナしか書かなかった。でも家の中の仕事は、父がよく言っていたけれど『おばあちゃんは ”ただ” 歩かないもんね』って。
つまり無駄に歩かない、無駄な動きがないという事なのだ。家事の達人だった祖母。
母のお雛さま
運良く桐の箱に入っていたお内裏さまだけが
ねずみにかじられずに無事だった。
昆布巻きでも梅干しでも、にしんのがっくら漬けでも、なんでもなんでも美味しかったけれど、私たち孫のために作ってくれるドーナツが本当に美味しかった!
学校から帰るといい匂いのする台所へ直行。ランドセルを背負ったままでお砂糖をまぶした揚げたてのドーナツを食べさせてくれる。私たちを可愛がってくれた。
祖母の味には到底及ばないが、”これ”を作る時、いつも料理上手だった祖母を思い出すのである。
母も料理はしたが、たまにサンドウィッチなんかお弁当に持たせてくれた時は、卵やハム、きゅうりなどいろとりどりに、見た目もオシャレに作ってくれるのだけれど、いざ食べる時、何段にも重なっているため、どのくらい大きな口を開けたらいいのって言うくらい厚くて食べにくかった。美味しかったけれどね!
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