納戸の整理をしていたら、段ボール箱に入った絵本が出てきた。
19歳のとき本屋さんでふと目に止まったのが、
滝平二郎:絵の「花さき山」だった。
彼岸花がついた浴衣を着た女の子の切り絵が印象的な表紙だった。いい事をすると心の中の花さき山に花がひとつ咲くというお話。
そして、その時買ったもう一冊がレオ・レオニの「フレデリック」。
仲間の野ねずみたちが冬に備えて木の実やわらなどを蓄えているのにフレデリックだけは何にもしないでただじっとしている。
でも、長い冬、野ねずみたちを救ったのはフレデリックだった。みんなに目をつぶらせて四季の素晴らしさを話する。
話が終わって、顔を赤らめたフレデリックが、恥ずかしそうに『そういうわけさ』というこの表情がとても可愛らしく、また谷川俊太郎の訳も素敵で絵にピッタリ合っていた。
この2冊の切り絵とちぎり絵の絵本に出会ってからわたしは童話や絵本の世界に夢中になっていった。
10年ちかくまえになるか、市内のある広場でときどき開かれる古本市があって、通りがかりで偶然見つけた千葉省三の「虎ちゃん日記」。
大好きな童話だったのにどこにいってしまったのか手元になく、見つけたその時、嬉しくて思わず買ってしまった。今はもう絶版となっているらしく本当に残念。今こそこんな本が必要なんじゃないかしら?
ほのぼのとした虎ちゃん日記の挿絵
もっと多くの人に読み継がれてもいいのにと思うこの本は昭和の初めに出版され、著者の子供の頃を描いたようだった。
虎ちゃんは昭和初期の小学生で、田舎で元気いっぱい子供らしく、悲しんだり喜んだりして過ごすというお話。
なかでも一番好きな場面が、怪我をさせられた友達の方が、虎ちゃんを気遣って書いた手紙文。『はいけい』から始まって、栃木弁で書かれた文の終わりがいちいち『候』文になっているのがなんとも可笑しく、可愛らしいのだ。
ケイトグリィナウェイの「窓の下」
素敵な庭の木陰でアフタヌーンティーをどうぞ!
イギリスの日常を描いた絵本
こういう絵本をみて自然にマナーや習慣を覚えて行くのですね。
こうして久しぶりに忘れていた絵本や童話を読んでみると、
なんだかほっとする。
暴力やいじめが問題になっている今、人間として何か大切なものを忘れている気がする。簡単な事ではないけれど、人を思いやる気持ちや心にゆとりがもてるような世の中になってくれるといいのに、、、。
たまには童話の世界に入るのも新鮮な気持ちになれていいもの!
ケイトグリィナウェイのトランプ
かじった切れ端はいったいどこへ、、、?