『あっ!おぼえてる、おぼえてる、ここ住んでたとこだよね!』とf さん、m さん。
真冬はけっこう雪が積もるので明け方近くには、融雪剤を噴霧する車の音で目が覚めた。
オレンジっぽい車が止まっている前あたりが住んでいたアパート。
アパートの中庭はスクウェアになっていてとても広く、ちょっとした丘陵地帯もあって、冬には子供達がそり滑りをしたり、かまくらを作って遊んだり、クリスマスが近づくと庭の大きなもみの木にはイルミネーションが灯った。秋には窓から見える紅葉した黄金色に輝くアカシアの木やゆっさゆっさ風に揺れる大きな柳の木、芝生の庭を駈ける野うさぎやリスも見かけた。お天気の日は中庭で同じアパートに住んでいる方達とバーベキューをした事も。今思うと私たち家族にとって、とくに子供達にとっては本当に素晴らしい環境だった。生活に余裕はなかったけれど、家族にとってはとても大切な、かけがえのない貴重な時間を過ごす事ができた思い出の場所。
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