2014年3月22日土曜日

追悼コンサート

今年1月20日に80歳で亡くなった、クラウディオ・アッバードの追悼コンサートをディジタルコンサートホール(インタ−ネット配信)で聴いた。コンサートはアッバードが亡くなって3日目から数日間行われ、40年来の友人のズービン・メータが指揮をした。

黙とう後、マーラーを得意とする指揮者でもあったアッバードに捧げる曲としてマーラーの5番のアダージェット。ぞくぞくするような弦の響きと抑制された音が印象的だった。
その心のこもった演奏にこちらまで泣きそうになってしまった。

ベートーヴェン:ピアノコンチェルト
ブッフビンダーのほかの演奏も聴いてみたい

ウェーベルンの " 管弦楽のための6つの小品 " は透明感あふれる管楽器の響きが魅力的だった。なんかウェーベルンって惹かれるなー。

いよいよベートーヴェンのピアノコンチェルト5番 " 皇帝 "。 ピアニストがベートーヴェンを得意とするオーストリアのルドルフ・ブッフビンダー。日本ではそれほど馴染みがないこの人がすごかった。指揮者の存在が薄れるくらいピアニストがぐいぐいオケを誘導していく。音色の美しさ、自然な歌い方、表情にいたるまで理屈抜きに素晴らしかった!一気にファンになってしまった。

最後は好きなリヒャルト・シュトラウスの " 英雄の生涯 " 初めて聴いたときはつまらない曲だと思ったけれど、聴いていくほどに引き込まれるいい曲。とくに一人一人がソリストの集団のベルリンフィルだからよけいに魅力的な演奏だった。和音の移り変わりに鳥肌が立ち、重い音、軽い音にも身が詰まっている感じ。そして皆の表情がいい。そういうのってストレートに聞く側に伝わってくる。

テレビにスピーカー(B&W)を接続して
いつもこの状態でコンサートを聴いている

コンサートというのは、そのときの気分や体調、そしてその場の雰囲気によっても感じ方が違ってくるけれど、、、。
感動的なコンサートだった。メータがインタビューで語っていたアッバードとの思い出話。

アッバードと2年間ウィーンで一緒に指揮の勉強し、楽友協会合唱団にも参加し、クーベリックやカラヤン、ベームなどの大指揮者がオケの人たちにどんなことを言うのか観察するため顔を出していたそうだ。でも練習にろくに出席をしなかったので、ある日、カラヤンとのリハーサルに参加したとき、合唱の指揮者から『メータとアッバード出て行きなさい!』とカラヤンの目の前で怒られ、とてもショックだったと言っていた。そして小さいネズミのように端から出て行ったそうだ。でもカラヤンはそのことを覚えていなくて、後になってこの話をしたところ大笑いしてしまったんだそうだ。2年間毎日一緒に過ごし、お互い刺激し合って素晴らしい青春時代だったと振り返っていた。
                     胸の熱くなる心に響くコンサートだった。


ニオイスミレ

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